ジュンカン

恵みと災いの両方の自然と共生する社会づくり

 美しい風景や癒し,美味しい料理の食材といった恵みの自然は,実は洪水,台風,地震といった人にとっては災いとなる自然の作用も受けて作られており,私たちが持続可能な社会を作るためには,これら両方の自然とうまく共生していかなければなりません.

 特に,わが国は古くから海を利用し,発展してきた一方で,水環境も悪化させてきました.今後は,安全を確保しつつ,これらの海の環境を保全,創出,さらに適切に利用していかなければなりません.

 またこれらの環境改善には,目的を共有した専門家,行政,市民などが対等な立場で共に活動する「協働」の仕組みも必要となります.私たちは,専門家や学生だけでなく,行政,学校,市民,企業などと協働の仕組みを作り,環境改善の取り組みを行ってきました.ここでは大阪湾周辺の9つの事例を紹介します.


ジュンカンの修復と創出

 地球誕生以来,物質の総量は決まっており,物質は物理,化学,生物的な作用を受けて,地球内を循環してきました.人も虫も鳥も,そして恐竜も全ての生物はその循環の“わっか”の中におり,私たちはそのあり様を“ジュンカン”と呼び,それを健全にすることを環境改善の目標にしてきました.

 海辺のジュンカンには浅場が大切で,その機能を取り戻す取り組みを問題に応じながら様々な所で行ってきました.浅場が残っている所(地点③)では,まず保全,改善することが大切です.また浅場を失ったところ(地点①,④,⑦)では,防波堤などの人工物に浅場を設置し,ジュンカンを創出します.加えて水質も劣化した場所(地点②)でも,若干の人の手間を加えれば,ジュンカンを創出できることを明らかにしました.またアミノ酸を加えたコンクリートを使い,ジュンカン力を効果的に高めるといった研究も行っています(地点②,③,⑤).


絶滅危惧種の保全

 ジュンカンを維持するためには,その担い手の生き物を保全する必要があります.全国で5か所にしかない絶滅危惧種ルイスハンミョウが生息地であった沖洲海浜が,高速道路建設によって失われることの代償として,沖洲人工海浜が整備されました.現在,そこでのルイスハンミョウが定着することを目標に,様々な研究・活動が行われています.



学生による活動(ESD,Education for Sustainable Development)

 ジュンカンを改善する取り組みの中には,大学生が主体となって進めているものもあります.多くは小中学生を対象にした学習会ですが,それは多様な主体が環境や地域課題の解決に向けた協働に参加するきっかけとなっており,まさに「持続可能な社会づくりのための教育(人材育成)」となっています.

 

文責:上月康則,山中亮一(徳島大学環境防災研究センター,kozuki@tokushima-u.ac.jp